身体を、思考する。

日暮里d-倉庫
現代劇作家シリーズ8
ハイナーミュラー
『ハムレットマシーン』

身体の景色
怪我なく、全公演を終演しました。
みなさま、ありがとうございました。

じっくりじっくり身体に染み込ませた(勿論まだまだ足りないのだが)何か、が、確かにあると思います。

私は昔から登退場が好きで、観るときもつい注目してしまう。
今回の私の登場は、下手奥から、舞台心よりやや前やや下まで、十六歩を歩く、でした。
なかなか辿り着かないその場所に向かって歩く十六歩は、とても苦しく、そして透き通っていました。
踏みしめ踏みしめ、耳を開き、呼吸し、足元から確かにひろがってゆくものを捉え続けた。
空間を共にする演劇という芸術でなければならない理由がそこにはあった。
つくづく、身体がないと喋ることなんて到底出来ないと感じます。

来てくださった方々、とりわけ、学生さんや20代前半の方々から、
「舞台から客席に流れ込むようだった呼吸が忘れられない」
「強大なエネルギーが散る事無く凝縮された丁寧で繊細な作品だった」
「空気がピリッとした」「浄化される感じがした」
「立ち上がる一歩が揃う、というだけで涙が出た」
というような感想をいただいたことに、私は、驚きとともに、希望をみました。
脳でわかるとかわからないじゃない、皮膚で、触ってくれたんだな、と。

色々な事が頭をめぐる現場でした。
台本にメモもしました(普段はあまりしないのに)。
「身体を、思考する。」と、大きく書いてあった。
何をやるんでも、大切なこと。
これからも精進を重ねます。

ありがとうございました。

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